安斎英明・写真展 Still Wind – 静 ・風
2012年10月20日ー10月28日
11:00am~7:00pm (休) 月曜日
20日 5:00pm オープニング P 最終日 5:30pm Close
Still Wind – 静 ・風
子供の頃に身近であった野原がいつの間にか遠くへ行ってしまった。 ふと立ち止まった時に、失っているものの大きさに気づく。 あるがままの自然‐原風景に再び出会ったとき、無意識はよろこび、受け入れ、 懐かしさ・楽しさ・怖さ・悔い様々な感情が隠れていたことに気付かされる。 バンクーバーの南に一介の漁村から漁業・鮭缶生産・造船で栄えた日系人の 町がある。その対岸に位置する湿原地に冬、足繁く通う。 蒲‐ミスグサが群生している湿原地。 厳しい寒さの中で、朽ち果て、立ち枯れ、物言わぬ静謐な世界が拡がる。 その美しさに惹かれカメラを向けるようになった。 寂寥感、死の世界、草々が横たわる土の下の光のない深層に思いをおいてみる。 無数の屍が季節が変わるたびに積重なり層をなす沈黙の世界。 しかし蓋を開いてみると、かすかな蠢きが聞こえる、 じっとしていると、至るところで蠢動がおきており、それは波となり、 押込められていた、忘れられていた、地のもつ時間が立ち上がってくる。 時間と空間が止まり一体となり夢中でシャッターを押す。 草々はうねり始め、木々は動き、鳥が叫び飛び去る。 濃厚な命の静寂に包まれる。 そして耳のなかでとまっている空気の静けさを聴き、 耳を澄まされんことを願う。
安斎英明 略歴
福島県生まれ。仕事の傍ら写真の面白さに魅せられる。
カナダ・バンクーバーの学校で写真を学び修了。
バンクーバー日本人ボランティア組織・隣組の出版物
(一世魂‐隣組物語、Cookbook-Home Away from Home)の写真制作に従事。
カナダ・東京を基盤に、モノクロ写真作品を制作中。